あるアンティークショップで、古い二重織のタペストリーを手に入れた。ショップのオーナーによれば、「ロムアルダ・プザノフスカの作品」だという。
裏書きがあるものの、すでに色褪せており、最初の「P」の文字がうっすらと読めるだけだった。プザノフスカの「P」——そうかもしれないと思った。
84歳のロムアルダさんに写真を送り直接尋ねると、「昔織った自分の作品じゃないかと思う」との返事。ここ一年ほど織りから離れてしまったロムアルダさんの作品を、時を超えて再び手にできた喜びが胸にあふれた。
ヤノフを訪ね、ロムアルダさんにお会いした。最初のうちは「自分のだと思う」と言っていたが、しばらく見つめたのち、「やっぱり違うと思う。フリンジの結び方が自分のやり方じゃない」と静かに言った。
こうして残念ながら、タペストリーは作者不明となった。それでも、1970年代頃の手紡ぎ、一本どりで織られた見事な作品であり、色褪せもない。裏書きがあるということは、商業的な作品ではなく、コンクールや美術館展示のために織られたものだろう。それだけに、ボールペンの文字が消えてしまったことが、なんとも惜しい。けれども、この織物を生んだ過去の織り手は、ロムアルダさんが「自分のではない」と誠実に否定してくれたことに、きっと感謝しているに違いない。
――名を失っても、その織りの美しさだけは、確かにここに生き続けている。
産地:ポーランド北東部・ポドラシェ県ヤノフ村
技法:二重織
作者:不明
素材:ウール
サイズ:約 横73cm × 縦180cm発送について:ポーランドより発送いたします。お届けまで通常10〜14日ほどかかります。
ヤノフ村の織物 1970年代 ヴィンテージ 作者不明
¥148,000Price
VAT Included
